7人が本棚に入れています
本棚に追加
「それにしても、新入生とはいえ『武術』学部の生徒を『召還魔術』学部の君が武器も持たずああも簡単にあしらうなんて、何か武術の心得でもあるのかしら?」
「嗜み程度です」
「へぇ・・・・・」
沈黙する生徒会長に、五木は再び緊張してきて唾を飲み込んだ。
「本当にあれで嗜み程度なら、『武術』学部の入試、授業のレベルを上げないといけないわね」
『武術』学部の新入生から始まる大乱闘は、他の新入生をも巻き込み、二年三年も巻き込まれ、取り返しの着かないところまで発展してしまった。
そんな中、一つの衝撃と共に静かになり、その源である中心に視線が求めた。
そこには、地面を抉り、焦がした五木の姿があった。
「たまたまうまくいっただけです。みんな頭に血が上って、俺に気付いてなかったので」
「へぇ、そうなの」
五木の言い分に、アルマが楽しそうに頷くだけだった。笑っているが、目の奥は笑っていないように見えた。
「まったく、毎年のことながら苦労させられるわよ・・・」
こんな事があっても、爽やかに苦笑する生徒会長に、五木は気の抜けた相槌しか出来なかった。 また、見透かされているような気分になり、五木はなんとか話を切り上げようと思った。
「俺に非がないということなら、このまま教室に戻りたいのですが」
「いいえ」
そのまま会長に背を向けようとしたのだが、アルマはそれを許さない。
短い否定が、五木の足を止めさせた。
最初のコメントを投稿しよう!