始まりの夜………

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俺は病院の中を走った。   何処に行くのかはわからないけどただ全力で走った。   途中でまた倒れそうになったけど走った……     気がついたら俺は屋上にいた。 どうやって来たのかは分からなかった……     屋上には自殺防止用の高いフェンスがあった。 そのフェンスは自分がこんな病気にかかっていなかったらただの金網でしかない物だったけど、自分が死ぬかも知れないと思うとそのフェンスが生と死の境界線の様なものに見えた。     どうせ治らない…… 自分はいつか死ぬ…… それだったら今自殺しようと病気で死のうとかわりがない。     それだったらここで死のう……       そう思ってフェンスに昇ろうと足を掛けたとき後ろから大きな声で呼び止められた。         今思うとあそこで呼び止められなければ自分はこんな気持ちにはならなかっただろうし、この世にはいなかった。   僕は貴女に救われたんだ……
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