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私が泣いていると、突如辺りが明るくなった。
上を見上げると、コウが覗き込んでいる。
「どうした?」
差し出された手に、私は思わずしがみついた。
「寂しいのか?」
コウは私を抱き上げると、自分のベッドに行き、横になった。
「今日だけだからな?」
コウは優しく言うと、直ぐに寝息を立ててしまった。
私はコウの寝顔を見つめた。
規則正しい寝息は、ここに一緒にいるよという安心感を与えてくれた。
(お母さんも先に寝てたっけ)
心地良い安心感と温もりに、私はいつのまにか寝ていた。
ピピピピピッ
耳につく電子音に驚いて、私は飛び起きた。
パニックに陥った私は爪を立て、毛を立てて、ベッドの上を走り回った。
小さな爪にシーツが絡む。
抜けない爪に、更に慌てて暴れ続けた。
次第にシーツが私に絡まってくる。
もがけばもがく程、シーツの海は私に襲い掛ってきた。
そして遂に私は動けなくなった。
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