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「大丈夫か?」
シーツの隙間からコウの顔が見える。
笑いを噛み殺していた。
心なしか声も震えている。
「にー……」
私のか弱い声に、コウはシーツを剥いでくれた。
そして私はシーツで溺れるのだと学んだ。
それと、目覚まし時計という物の存在も知った。
……そういえば、私があの時あんなに暴れたのは、ずっとあの電子音が鳴っていたからだ。
という事は、コウは私が暴れるのを面白がっていたのかしら?
……いや、コウはそんな事をする人間じゃない。
コウも私の驚きぶりに驚いていたのだろう。
でも……何だか気が済まない。
私はベッドからスルリと降りると、キーボードを叩くコウの足をひっかいた。
「痛っ!サクラ!?」
コウが私を振り向き、抗議の声を上げた。
ちょっとスッキリ。
ごめんね、コウ。
「にゃー」
私は甘えた声を上げ、またベッドに丸くなった。
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