「サクラと金魚」

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   私は純粋に、金魚のダンスが好きなのに!  どうしても一緒に踊りたくて、水槽に飛び込む位好きなのに!  でも……溺れちゃった。  苦笑いしながらコウは、私を助けてくれた。 「駄目だって言ったろ?」 「にー」 (違うよぅ……)  抗議の仕方を知らない幼い私は、ずぶ濡れでうなだれる事しか出来なかった。  でも、今の私なら……。  私は金魚のダンスから目を離すと、コウの元へ向かった。  カタカタカタカタ。  コウは私に気付かない。  バリッ  コウの足を軽くひっかいてみた。 「痛っ!え?え?サクラ何で?」  コウは訳が分からずに、足を擦っている。 「にゃー!」  私は、金魚のダンスが好きなだけなんだから!  痛がるコウをよそに、私はまたベッドに登った。  そしてまた、二匹の金魚のダンスに心奪われていった。  ゆらり、ゆらり。  ゆっくり金魚は踊る。 「にゃぉん」 (綺麗……)  そして時間はゆっくり過ぎていく。
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