「サクラとパソコン」

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 カタカタカタ。  規則正しく聞こえる音に、私はまどろみから目を覚ました。  音のする方を見れば、彼がいつもの場所で、パソコンのモニターとにらめっこしながら、キーボードをせわしなく指で叩いている。  時折、薄明るい照明の下で、手を止め宙を見詰めたかと思うと、またおもむろにキーボードを叩き出す。  私は彼を呼んだ。 「起こしちゃった?」  彼が振り返りもせず、私に聞いてくる。  手は止まらない。  いつもの事だ。  私は返事をせずに、彼と私が寝るには広すぎるベッドの上で、伸びをした。  白いシーツの海は乱れに乱れている。 「もうこんな時間か」  彼は時計に目を走らせると、自らも伸びをした。 「お腹空いたね」  彼はそう言うと、私の返事を待たずに部屋を出ていく。  暫くすると、彼は皿にサンドイッチを乗せ帰ってきた。
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