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中には、余りにも短く、余りにも悲しい生涯を閉じた兄弟達がいた。
「にー」
私は兄弟達を呼んでみる。
だが、やはり返事が返って来る事は無かった。
「ごめんな?もう少し早く見付けてれば……」
彼は小さく呟き、私の頭を撫でた後、箱を閉じた。
そしてその箱を脇に抱え、歩き出す。
私を包む手は、優しいままだった。
兄弟達が、その後彼によって弔われた事を知ったのは、私が大きくなってからだ。
彼の家に着くと、私は風呂場に連れていかれた。
「寒かったろ?」
ぬる目のシャワーで私の体を洗う。
初めてのシャワーは、私にとって恐怖以外の何物でも無く、私は力一杯暴れた。
だが、それも直ぐに力尽き、彼の優しい手になされるがままになった。
「よしっ、暖まっただろ?それに綺麗になった」
彼は私をタオルで拭き、ドライヤーを当てた。
これも私は抵抗を試みたが、徒労に終わった。
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