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賢治の通う小学校は自宅の前の道を左に真っ直ぐ進んだ先にある坂の下にあった。そことは反対の方向、自宅前の道を右へ真っ直ぐ進んだ先にある坂をずっと上に登っていくと次第に道路の舗装が無くなり砂の道に出る。
ある晴れた日、彼は持ち前の好奇心でその奥へと進んでいくことにした。道は進むごとに狭まり木の枝が上から覆い被さり茂みが濃くなっていった。そこから獣道沿いにどんどん奥へ進むとまたちゃんと舗装された別の道に出るのだ。そこは田園地帯で見渡す限り畑や田んぼしかない。遠くの山までの間には建物は無く道を歩いていても誰ともすれ違わなかった。まさに彼にとっては天国である。
しばらく歩いて小川と小さな橋を見つけた。賢治は川の中のザリガニやメダカを見て釣竿を作る道具とエサを持って来ればよかった。と少し後悔した。
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