1章 【隠れ家】

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 散策を始めて数時間、時刻は正午を過ぎていた。賢治は自分で作った弁当を食べる場所を探して丁度良い木陰を選んだ。その木はここら一帯では大きな方で遠くからも丘の上にあるので目立って見えるものだった。  賢治は弁当を食べながら「さっきここに来る途中に古い木造の建物が見えたからちょっと覗いてみようかな…」と考えた。  それは古い木造の校舎だった。見たところ小学校だったようだ。 今は使われていないらしく所々苔が生えて校庭も雑草が伸び放題だった。  森に囲まれたこの元小学校は強い日差しと蒸し暑い空気の直撃を受けていた。賢治もまたそこにいることで同じダメージを負うことになった。強い日差しと蒸し暑さから身を守るため賢治は校舎の下足場付近にふらふらと座り込んだ。
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