第七章「手紙」

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「只今戻りました」 そう言うといつもの母の声が無いことに気づく 買い物に行ったのかしら? そんな事を思いながら自分の部屋に戻る 持っていた鞄から荷物を取り出して 携帯を机の上にある充電器にさした時 一枚の封筒と手紙が置いてある事に気がついた なんだろうと、ひとまず手紙の方を先に読んだ 母からだった 『お父さんと旅行にでかけます、リビングの上にお金を置いてあるので 3日ほどそれで過ごしてね』 突然すぎて、不自然にも思えたけれど それでも、夫婦円満なのだから良しとしようと思い 封筒に目をやる、今度は父らしい達筆な文字で 封筒に書き記されていた 『夏美、この中に入っているのは慶太君から君への手紙だ 何が書かれているかなどは一切読んでいないから安心してくれていい ゆっくり一人で考えて、夏美の思った通り行動をおこしなさい。』 「・・・ぇ」 思わず声が出た、それと同時に心臓が高鳴っている 慶太さんに何があったのだろう 普段、手紙なんか絶対に書かない人が私に書いてくれた 嬉しさよりも先にその不安ばかりが鼓動を早まらせる 急いで封筒を開けた
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