30人が本棚に入れています
本棚に追加
『久しぶり、元気してるか?
俺は今病院の病室からこの手紙を書いてる
手紙なんか書いた事があまり無いからどう書いていけばわからないけど
夏美に言えなかった事実を書こうと思う
俺は半年前、末期癌の申告を受けた
残された時間は半年だと言われた
そこで、夏美と別れる事を勝手に決めたんだ
本当に身勝手で悪いと思ってる
夏美が幸せであって欲しかったから
そうするしかないと思ったんだ
それから、親にだけ自分の病気のことを告げて
あとは誰にも伝えず、このまま死ぬつもりだった
今日、お父様がここへ来るまでは本気でそうおもってたんだ
自分が間違っていた事を教えてもらった
どうするか、どうしたいのかって言う事は
全部夏美が決める事なんだと気づけた
だから死ぬ前に本当のことだけは伝えておきたかったから手紙に残しました
ただ、会いたくて手紙を書いたつもりは無いから
これで、お別れだ
俺は死ぬまで夏美の幸せを願ってるから、幸せになってくれ
最後まで勝手でごめん、さようなら。』
そこで終わっていた、読み終わってから思ったことは
会いたい、ただそれだけだった
本当にどこの病院に居るのか記されてないのか
必死で手紙のあちこちを穴が開くほど
探してみたけれど、やっぱりどこにも書かれてなかった
いつも弱気な私だけれど、誰になんと言われようと探すんだ
私の愛してる人を絶対一人で死なせたくない
そう決めると私は今の時間を確認する
昼12時丁度、リビングに書置きをして家を出ようと
手早く荷物をまとめて下へ降りる
この三日間幸い、出歩いても心配は掛けないけど。
もし急に母たちが帰ってきたとき
私が居ないと心配させるとおもい
テーブルの上にそっと置いてでようとした
置手紙と封筒がおいてあった
一言「いってらしゃい」と書いた置手紙と
食費にしては多すぎる金額が封筒に入っていた
・・・敵わないなぁ・・・本当に。
そう頭の中で呟くと思わずにやけた
「いってきます」
そう呟くと私は彼を探しに家を出たのだった
最初のコメントを投稿しよう!