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「だったら、理由を探せばいいじゃないですか」
「どうやって?」
「…例えば僕は本を読む事で言い伝えを知りました。旅をしながらそれを見つけて行くのでも、遅くはないと思いますけどね、僕は」
「そーかなぁ…?」
「ええ、きっと。だからあんまり考え込まなくてもいいんじゃないですか?」
あなたはいつも通りに動いて、笑って、怒っていれば十分なんですよ。
そんな意味を込めて告げると、和泉は目を数回瞬かせた後。
「…もしかして気付いてた?」
「勿論です。多分、遼も気付いてましたよ」
「え…」
「貴女は隠し事とか苦手ですからねぇ」
微笑みを含ませた表情のまま言うと、和泉の頬は紅く染まった。
「だって…!」
「だから、悩み事がある時は今日みたくちゃんと聞いて下さいね?いつでも相談にのりますから」
「………でも」
「おや、僕じゃ不満ですか?」
悲しげに眉を寄せる仕草をすると、彼女はぶんぶん首を横に振った。
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