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「……それがどうした」
「本来ならこの水は僕一人の所有物なんです。それを僕がどう使おうと貴方には全く関係ない………そう思いません?」
「……………」
笑顔でそんな事を言われれば言い返すせない。
と、いうか言い返したら最後、梓が満面の笑みで更に続ける事は至極明瞭確定事項。
結局は梓に勝てる人はいないのだ。
遼が言い返そうとしないのを悟った梓が、続けて言い放った。
言いやがった。
「仮にも一国の王子ですからね、貴方は。心が狭い事ばかり言わないで下さい」
語尾にハートマークが見えますよ奥さん。
ああ、なんか遼が悪いけど、遼が一番悪いけど、可哀相になってきた。
助け船漕いでやろうかな。
「梓~次の村迄どんくらいかかるの?」
「え?あぁ、そうですねぇ…」
梓がガサガサとリュックから地図を出し、少しの静寂。
「大体三時間くらいですかね」
「本当?それじゃあもうちょっとじゃん」
「ええ。何もなければ、の話ですけど」
「へー何もなければねぇ」
ぽりぽりと頭を掻いて、一言。
「アレは何もないうちに入んの?」
親指で後ろの方の…岩石の山に隠れている奴等を示す。
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