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「ちょっと!私はちゃんと……」
なんとかって名前がある。
そう言おうとしたのに。
「………あれ?」
名前が思い出せない。
そんなバナナ。
違う、そんな馬鹿な。
何で?
「ま、そーゆーこった。お前等が向かうのは西だ。最果ての町まで行け」
そしたら元の世界に戻してやるよ。
にぃ、と笑って彼女は両の手のひらから小さな光を生み出し――――光が消えた時には一丁の拳銃と、長い剣があった。
「安心しろ。武器をやる」
ほらよ、と手にある長剣を梓に。
拳銃を遼に投げ渡した。
「…………私には?」
「ねぇよ」
「なんで?」
「お前は格闘技やってたろ」
だから大丈夫だ、って。
ちょっと待て。
そりゃ格闘技はやってたさ。
でもこれでもか弱い乙女よ?
「あんまり早くにお前等に死なれちゃつまらねぇから忠告しておくぞ」
急に真面目な顔になって、“神様”は続けた。
「尖った耳と鋭い爪。それから黄色い瞳の奴等は妖怪だ。殺せ」
「はぁ?なんで…」
「大抵お前等を殺すために襲ってくるからだ、わかったな?」
それだけを告げると彼女はまた消えていってしまった。
「…………」
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