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奈美ちゃん、か。何か雰囲気が変わったと言えば、まあ、気付けないぐらいには変わったな。
だけど、どこか面影がある。
あの時のこいつも、どの時のこいつも。異様に黒髪が綺麗だったのは覚えてる。
印象的だったなー。というか、同じ高校だったのか。
それに、死神とかそっち系の事言うような奴じゃなかったけど。
――ふと気付くと、彼女、奈美ちゃんは、柵の上に立っていた。
「なっ!」
こ、このタイミングでっ!?
ちくしょう! 気が散っていた! シャレになんねえよ!
薄い柵に器用に立ち、奈美ちゃんは俺を見詰めていた。
彼女は、まるで震えていない。死ぬことを恐がっていないのか。
俺をただ、皮肉るように、蔑むように、哀しむように――
死神のような目で、俺を見下していた。
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