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「ねえ! 何してんの!?」
背後で誰かが叫んだ。
おっと、見付かっちまったか。だが俺は止まらない! 誰も俺を止められねえぜ! ざまあみろ!! ばーかばーか!
……ん? 今の、女の子の声だったか?
俺は足を止めて振り向いた。
惚れた。
風で踊る短い黒髪は、天使が丹精込めて磨った墨の如く綺麗だ。美麗だ。ビューティフルここに極まる!
ああ、もっと近くで。もっと近くでその顔を!
俺は、屋上へ来た目的なんて投げ捨て、今すぐあの子の所まで走っていきたかった。
抱き着きたかった。
あの髪で首を絞められたかった。
しかし、それは出来ない。
俺はもう、死神ガールに婚約を申し込まれたからだ。
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