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「思い直そうとしないのか? 死神が本当にいると思うか? 犬死だったらどうする? 現実に幸せを見出せないのか? そろそろ就職しろよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ! あたし達高校生よ?」
「ああ、そうか」
「……あんた、名前なんていうの?」
ふと、彼女は優しげな笑みを見せた。
可愛い。
何だかおろそかになっていたが、容姿をチェックしてみれば、やはりこの子可愛いじゃないか。
「何でいきなり……」
「まあ、自殺する前にこんな長い会話すると思ってなかったしね。あんたがあたしの、人生最後の……えっと、うん」
「彼氏か?」
「友達よ!」
友達? 友達か。
じゃあ、目の前で死なれるのは、困るってもんだな。
「なあ、何で俺を止めたんだ?」
「え? そりゃあ、ねぇ」
「まさか、本当に、自分が死ぬから駄目なんて理由じゃないだろうに」
「…………」
彼女は突然、下を向いて黙ってしまった。というか、さっきから『彼女』を『官女』と間違えて打ってしまうんだが。
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