｡私の怪談。

２．病院

　中学一年の秋、よく晴れた日のこと。

　私は学校が昼までだったのでその帰りに、梅雨時から癌で治療中の母がいる病院へとひとりでお見舞いに行きました。

母は二日前に一人部屋から二人部屋へと移動したばかりでした。
すこしずつでも回復している証拠です。

「そこの部屋。プレートにちゃんと名前あるから、わかる？ちょっとトイレ行くから部屋で待っててね。」

　そう母に言われたので、部屋へ向かいました。入り口には母の名前と、もう１人女性の名前がありました。

中に入ると、ベッド同士の間に仕切りをつくるかたちで、少し卵色がかった白いカーテンが引かれてます。母のベッドは入り口側にありました。

　丁度お昼の明るい時間で、外から差し込む光が白い壁やベッド、カーテン、それから窓枠に…全てに反射していて明るく暖かい空間でした。