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母は、梵天丸にとって特別な人であった。側に近よりがたいほどのこわいような美しい人であった。なににたとえようもない美しい人が自分の母であることを、梵天丸はどんなにほこりに思っていることか。母に何か声をかけられるだけでも、気の遠くなるような喜びであった。
母に一度、だかれたことがある。そのときうれしくって有頂天な気分であったのに、梵天丸は母からのがれようとした。すると、
「なんと、よそよそしい子だこと」
と母はいった。
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