みにくい眼

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梵天丸は、愕然とした。よそよそしいのではない。はずかしかったのだ。もったいたいというような気持ちであった。 今度は、母にあまえてみたいと思った。病気のあとなら、あまえることもゆるされるだろう。苦しかったこと、目がいたかったこと、見えなくなったことをうったえて、なぐさめてもらいたかった。そして、今度、母がだいてくれるなら、すなおにだかれよう、と思った。 梵天丸は、居間にすわって待っている間に、ちょっとふらついた。それは、きっとうれしくて、わくわくしているからだと思った。
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