化物の梵天丸

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「あのような顔を人前にはさらせませぬ。家来衆も、あの目を見たら気味悪がり、主人にたてようという気もなくしましょう。なんと申しても御大将は、りりしゅうなければ……」 「そなたは、まことの母親か!」 輝宗は、それだけいって、あとにつづく言葉を失うほどおどろいた。 利口で感受性の強い梵天丸は、母の態度にどんなに傷つけられたことだろう。熱にうかされて、 「母さま、助けて、助けて……」 と、うわごとをいったという梵天丸があわれでならなかった。
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