387人が本棚に入れています
本棚に追加
「あのような顔を人前にはさらせませぬ。家来衆も、あの目を見たら気味悪がり、主人にたてようという気もなくしましょう。なんと申しても御大将は、りりしゅうなければ……」
「そなたは、まことの母親か!」
輝宗は、それだけいって、あとにつづく言葉を失うほどおどろいた。
利口で感受性の強い梵天丸は、母の態度にどんなに傷つけられたことだろう。熱にうかされて、
「母さま、助けて、助けて……」
と、うわごとをいったという梵天丸があわれでならなかった。
最初のコメントを投稿しよう!