化物の梵天丸

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心の動き、感ずることは、子どもも大人もたいしてかわらないと輝宗は思う。子どもは、ただ思ったことを、大人のように口でいいあらわすことが上手でないというだけである。おぼえている言葉も少なく、しゃべりなれていないというだけのことだ。 〈こやつは、美しい顔をして、読み書きなど人一倍にできるが、正体は夜叉か!〉 輝宗は、義子の顔をまじまじと見たものであった。 しかし、義子を非難したとしても、梵天丸が、いまのように人にもあいたがらない、暗い性格に育っていけば、将来は、残念ながら義子のいうとおり、伊達家をつげなくなるだろう。
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