不動明王
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「あっ、若君さま……」 若い僧が悲鳴のような声をあげて、堂をでてきた梵天丸にむかってかけつけた。かけながら、大声で皆に梵天丸がいたことを知らせた。和尚がきた。乳母もきた。喜多は、まっさおな顔で梵天丸をだきあげた。 「和尚……」 梵天丸は、だきしめる喜多の胸の中で、のけぞるように身をのりだしていった。 「お寺に、なぜあのようなものをおいているのか?」 「は……?」
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