不動明王

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和尚は、そばにいた小僧の頭をおさえて、この子など、わんわんないたものですとわらった。 「あのお方は、お不動さまでございます。大日如来さまが、いっさいの悪魔をやっつけなされるためにお怒りの相をあらわされたものでございます。お顔はおそろしいのですが、お心はおやさしいものです」 「合戦の仏さまか。父上のようなお方だな……」 梵天丸は、ふっとわらった。梵天丸の父の輝宗は、はむかう敵には勇敢、降伏した者にはやさしい、といわれていた。 「なんと……」
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