日は沈みゆく。

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猫「おめえって楽だよな」 マネキン「楽?僕は君が羨ましいよ。」 猫「俺みたいなのは大変だぜ?全部自分で選ばなきゃいけない。それなのに周りは勝手に俺を決めつけるんだ。」 猫はうんざりした様子であくびをした。 マネキン「僕は毎日決められたポーズをとるだけ・・・・退屈な、虚しい日々を送ってるんだ。」 猫「そりゃおめえがそれで満足してるからだ。」 猫は退屈そうに伸びた。 マネキン「マンゾク?僕が?僕に選ぶ権利なんかないのに?」 猫「あん?おめえがそういう風に決めたんだろ?違うか?」 マネキン「違う!!」 猫「なら一つ質問だ。おめえは動こうとしたことがあるか?」 僕は・・・。 マネキン「・・・・ない」 猫「ほらな。結局そうだろが。やろうともしないくせに希望を求める。できるのにできない振りをする。まず誰かに頼ろうとする。まず誰かのせいにする。」 なぜか怒りと悲しみが沸いてきた。僕にも心があったのか。 マネキン「じゃあどうすればよかったんだ・・・」 猫「それを考えるのも、おめえなんじゃねえのか?ん?」 空はいつの間にか青から赤に変わりつつあった。 猫がまたあくびをして、僕の視界から消えた。
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