雪降りし日、『またね』と手を振る。

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3月1日。 それは、雪の降る寒い日だった。 三年間通った校舎とも、サヨナラの日。 そう、 今日は俺等の卒業式。 ******** 『別れ』の朝は、至って普通だった。 変わってたのは、母親の服装や晴れ晴れとした表情。 校内の雰囲気。 玄関で父兄に『しおり』を配る下級生。 飾り立てられた教室。 制服の上着に付けられた造花と、 『卒業おめでとう』の文字。 担任の礼装。 挙げればキリがない程あるのに、当の本人等は何時もと変わらない。 だって、三年間通った学校と今日でサヨナラなんて、誰も思わねーじゃん? だから俺は、友達とばか騒ぎしながら朝飯代わりのメロンパンを頬張っていた。
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