雪降りし日、『またね』と手を振る。

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クラス全員の名前が担任によって読み上げられた。 級長が卒業証書を受け取った。 『ほたるのひかり』も、校歌も唄った。 校長や来賓の長ったるい話も聴いた。 そして、 教室に戻って担任に卒業証書を手渡された。 まだ、実感…沸かねーのな。 クラス見渡してみりゃァ、泣いてる女子が居るのに。 最後。 寄せ書きした色紙と花束を担任に渡した。 泣きながら最後の号令。 もうこの机も、 椅子も、 ちょっと汚ねー壁とも、 辺りが見渡せる窓とも、 あったけーヒーターとも、 狭い教室とも、 この面子とも、 最後だって気付いたんだ。 進路はバラバラな俺等(進学組と就職組との混合だから当たり前だけど) 皆それを知ってか知らずか、各々仲のイイ面子で何時までも話してた。 柄にもなく、写真も撮った。 また明日も逢える。 そう思いたくて、 想えなくて、 まだガキな俺等は 教室の外が、 未知なる世界に思えて 中々扉を開けることが出来なかったんだ。
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