高校一年-冬-

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俺の高校は、北の方に在る。 結構田舎の高校のクセに、普通科、商業科、事務情報科と3つの科から成り立つ。…在校生徒も600人を越す、それなりに大きい学校だ。 俺はそこの普通科に通う、宮田文貴。 成績は中の下。 学期末のテストは、何とか追試を逃れ進級出来た。 今は二年のクラス発表を見に、寒い中学校に向かっている。道中、ふと一年B組の事を思い出していた。 入学早々、騒がしいクラスだった。 担任の個性の強いキャラも手伝って学校行事は楽しかったし、教科担からの評価も上々だった。 他のクラスとは違い、クラス行事なんかもあったし。毎日笑ってばかりいた。 (その分沢山怒られたりもしたけど!) そんなクラスとも『お別れ』。 物思いに耽って居ると後ろから俺を呼ぶ声。…と共に大きくなる足音。 「ふっみきー!」 「おぅわっ!テメ、シュンか!」 思いっきり体当たりされた俺は、雪が降り積もり固まり出した地面で何とか踏ん張り転ぶのを回避した。 「転ばねーのな、お前。だからさァ、野球部入るべ?文貴なら直ぐレギュラーだし!」 坊主頭をニット帽で隠し、寒さで頬赤くしながら大口開けて笑うコイツは俺の友達。朝倉シュン。 野球部で、一応レギュラー(しかもエースピッチャーらしい)。期待の新人、所謂イロモノ。 毎回、何だかんだ言って文化部(映画研究倶楽部。活動は好きな時に好きな映画を見るだけ)の俺を野球部へと引き抜こうとしてる輩だ。 同中とかじゃなく、同じクラスになったから仲良くなった。今じゃ毎日一緒に居る。つか寄ってくる…。 「またさァー、同じクラスなれっといーよな。文貴居ねェとつまんねーし」 「…っぷ、キモチ悪。まァ、俺もだけどよ」 寒くて痛い程の空気、 不安定な足元、 雪に反射して目に突き刺さる光、 何れも俺はキライだったけど、 シュンと歩く時間はとても温かく、 心地良い。 早く学校に着け。 と思いつつも、 まだ学校に着くな。 とも思いながら、 同じ制服を着た人間と同じ道を、シュンと一緒に歩いた。
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