高校一年-冬-

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******* 「見て見て、文貴!また俺と一緒ジャン。A組だって、うっわ、またヨロシクなー」 「おー、ホント。つかまた、煩くなりそーだな」 玄関の窓に貼られた模造紙から、自分の名前を探す。 意外にも早く見付けれた、俺の名前とシュンの名前。 他にもクラスメートをチェックすれば、中々退屈しないと思われる。 「文貴センパイ!ちょっ、文貴センパイですよね?!」 澄んだ空気に不意に響いた懐かしい声。ざわつく声が一気に静まり、俺へと視線が向けられる。 いや、俺じゃねーから。 なんて言える雰囲気も無く、声のする方へ顔を向ければ… すらりと伸びた長身に、薄い赤茶の髪色。キリッとした二重瞼にくりくりした瞳を細め、ニッコリ笑っている。 あァ、ゴールデンレトリバー…。 嫌々片手を挙げる。 嬉しそうに駆け寄ってきたワンコ…基、雨宮レン。 コイツは俺が中学の時の後輩。そんでダブルスのパートナーだった(よく凸と凹って言われてた…)。俺になついていたけど、まさか同じ高校とはなァ。 「文貴、誰?コイツ」 シュンが俺の肩に腕回し、値踏みするようにレンを見つめていた。 ワォ、険悪ムードだけは勘弁。 「同中の後輩、雨宮レンっつーの。あァ…コッチは同じクラスの朝倉シュン。」 レンはレンで今にも噛み付きそうだし…。ちょ、お二人さーん。楽しい雰囲気ゼロですよー。 「ちわッス。文貴センパイとダブルス組んでた雨宮レンです」 「…ッス、朝倉シュン。コイツとは仲良くさせてもらってマス」 おー…バチバチ火花飛んでる。
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