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シュンの肩をすり抜け、雪が固まりツルツルになった地面を転ばないよう気を付けながら、玄関の扉を開けて中へと入った。
やはり中は冷たい風がない分だけ、ほんのり暖かい。
ふと外を見ると、シュンとレンは未だ睨み合っている。
「意味わっかんねー…」
外とは反対に静かな校舎に俺の声は、寂しく響いた。
「あったけーモンでも飲も」
寒さでぶるりと身体が震え、ポツリと独りごちると上靴に履き替え校舎内に設置してある自販機へと歩を進めた。
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「あれェ?!ちょっ、文貴センパイが居ないィィイ!」
「おわっ!マジだっ!文貴、ふーみーきーッ!」
おろおろ、そわそわ、あわあわする二人を余所に、俺は一人『一年B組』と書かれた教室で綺麗になった、元自分の机に座りゆっくりとコーヒーを啜っていた。
「あー…うめェ」
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