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公園に着く。お姉ちゃんは公園の隅に新聞紙を敷いていく。
その音を聞き付けたように、四方八方から猫がゾロゾロと集まってくる。
ニャーニャーと急かすように鳴く猫たちに、お姉ちゃんは笑った。
「もう少し待ってね」
私はお姉ちゃんが敷いた新聞紙の上に、カリカリとニボシを置いていく。みるみるうちに猫は群がり、凄い勢いで食べていく。
お姉ちゃんは持ってきた皿に缶詰を開けて、それをカリカリとニボシに見向きもしない猫の所に持っていく。お姉ちゃん曰く、その猫はお婆ちゃん猫なのだそうで、カリカリとニボシを噛めないらしいのだ。
全部の猫に餌をやり終えて、猫は食べ終わると散り散りに帰っていく。
でも、お姉ちゃんの手にはあと一匹分の餌がある。
「マーブル、ご飯だよ」
お姉ちゃんがそう言うと、茂みから一匹の猫が出て来た。
茶色と白がマーブル模様になっている柄の猫。瞳は綺麗な空の色をしている。
お姉ちゃんが餌を下に置くと、その猫は近付いてきて、黙々と食べていた。
『マーブル』とお姉ちゃんが呼ぶこの猫は、他の猫と違う。
お姉ちゃんだけに懐いていて、他の猫たちと仲良くない。「孤独が好きな猫」だとお姉ちゃんが笑って教えてくれた。
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