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「でもさ、正直あたしには理解できないな。」
「……BL?」
「そう。だってやっぱ普通じゃないしさ、なんか気持ち悪くない?」
「……だよな。」
普通じゃない。
気持ち悪い。
そうだよな。
世間的に、やっぱあんまり理解されてないし。
俺だってその一人。
の、はずなのに。
なんか胸がもやもやして、すっきりしなくて、
そのあとはずっと上の空で、せっかくのカナとの初デートは終わった。
すっかり暗くなった帰り道、とりあえずこのわけわかんない気持ちを紛らわせたくて、雑誌でも買おうとコンビニに入った。
「新ちゃん!」
雑誌を見ていると、後ろから名前を呼ばれた。
見なくてもわかる、春人だ。
今、会いたくなかった。
そう思いながらも振り向くと、春人が嬉しそうな顔で近づいて来た。
「こんなとこで会えるなんて嬉しい!何やってんの?」
「…や、別に。もう帰るとこだし。」
なるべく話したくなかったので、そう言って持っていた雑誌を棚に戻しコンビニを出ると、春人もついてきた。
「待ってよー。
ねえ新ちゃん、俺の家近くだから来ない!?」
「……今日はもう疲れたし、家帰るわ。」
「えー…。ちょっとだけ!僕んちで休めばいいじゃん!
あ、もしかして意識しちゃってるとかー?」
「……んなわけねえだろ。」
「もー、新ちゃんも素直じゃないなっ。
僕みたいに好きなら好きって…」
「うるせえな!ちげえっつってんだろ!
……だいたい、男同士で意識するとか好きとかおかしいだろ。
……気持ちわりい。」
むしゃくしゃしていて、つい春人に八つ当たりしてしまった。
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