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言ったすぐ後に後悔したが、すでに遅い。
「そうだよねっ。気持ち悪いよね、僕。」
いつもと同じ、明るい声で言った。
けど、語尾がちょっとだけ、震えてて。
春人は俺の顔を見ようとしなかった。
「はる…」
「……新ちゃんはさ、…僕のこと、男だとか、女だとか、そういうの抜きで、見たことある?」
「……え?」
「……ごめんっ。何言ってんだろうね、僕。
僕は男で、新ちゃんも男なのにね。
じゃあ、僕帰るね。
ばいばいっ。」
「春人…!」
呼び止めても、春人は振り向くことなく走り去ってしまった。
次の日、春人に会うのが気まずくて学校をサボった。
携帯はカナからのメールや着信を知らせるランプがチカチカ光っていたが、見る気になれずに放っておいた。
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