364人が本棚に入れています
本棚に追加
それからも、春人が俺のところに来ることはなくなった。
青山先輩と春人が一緒にいるところもよく見るようになった。
「……なあ、やっぱはるちゃんとなんかあったんだろ。」
「……別に。」
「うそつけ。お前明らかに辛そうな顔してるし。
……はるちゃんはさ、いつだってお前に本気で向き合ってきただろ。
だったらお前だって本気で向き合えよ。」
「……。」
わかってる。
けど、今さらなにを?
幸せそうな春人見てたら、何も出来ずにいた。
その日の放課後はトモキと帰る約束をしていたが、忘れ物をして一度外に出たものの一人で引き返した。
自分のクラスに行く途中で、何気なく隣のクラスを見ると、夕日に照らされた春人が外を眺めていた。
「春人…っ。」
咄嗟に、名前を呼んでしまった。
春人は振り向くと、一瞬少し気まずそうな顔をした後、いつもの明るい笑顔を俺に向けた。
「…、新ちゃん!どうしたの?」
「…青山先輩待ってんの?」
「……っ、違う、よ。
やだなー、新ちゃん。
また気持ち悪いとか言いたいのー?」
笑いながら、明るい声で春人は言った。
「…違うよ。」
「…そっ、か。
………僕、そろそろ帰ろっかな!新ちゃんも気をつけて帰ってね。
ばいばい!」
春人が俺のいる方と反対側のドアに向かって歩き出した。
「…っ、待てよ!」
俺は走って春人のところまで行き、腕を掴んだ。
最初のコメントを投稿しよう!