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「……遅いよ。」
教室を出ようとすると、後ろから春人の声。
「…うん。」
「僕、すごい傷ついたよ。」
「…うん、…ごめん。」
「僕、本当はわかってたんだ。
新ちゃんが僕を女の子だと思ってるって。
好きだったから、それを利用したんだ。
……最低だよね。
でも、また日本に帰ることが決まって、絶対新ちゃんと同じ学校に行きたくて親にわがまま言ってここ受けさせてもらったんだ。
…新ちゃんにまた会えるのは嬉しかったけど、僕が男だってバレるのはすごく怖かった。
バレたら、きっと僕の気持ちは新ちゃんに受け入れられない、って思ったから。
でも、伝えなきゃ伝わらないから。
わざと明るくしてた。
……青山先輩とは何もないよ。
だいたい、10年以上ずっと好きなのに、忘れるはずないじゃん…。」
後ろを振り向こうとすると、背中に温もり。
夏服のシャツは薄いので、春人の息遣いまで伝わってくる。
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