2nd set [四つの瞳]【前編】

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「どうして?」     アイツは悪魔。   確かに普段の永久だけを見ていれば、誰もが驚くような意外な台詞だろう。   しかし、俺は永久の、容赦無く人を切り捨てる姿をこの目で見ている。      もしかしたら、こいつも……あの永久――“トワ”を見たのか?  「誰にも言わないでもらいたいんだけど……大丈夫?」 「ああ」 できれば言わないさ。   ……だが、場合によっては修二たちに報告だ。 「あいつは……人の命も……全部……ゴミとしか思って無い」 「……」   俺は黙りこんだ。   「二組に白木美香子っているだろ?」   黙って頷く。   白木は二組の女子グループでリーダー格を務めている、毎日必ずと言っていいほど髪をコテで巻いていく典型的なギャル系の女だ。 そいつの名前は、人の名前を覚えるのがあまり得意ではない俺でもすぐに覚えた。   あまり好きじゃないタイプだからだ。 別にギャルにアンテナが立たないわけじゃない。   ヤツのあの、人を小馬鹿にしたような態度や仕草が好きになれないのだ。   おまけに、お目当ての男には甘えた上目遣いだ。  山崎春の女版ってところか。
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