†手紙†

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†手紙†

 太陽がサンサンと日照り、蒸し蒸しとしている八月。  そんな暑い中、クーラーも付けずに本を読んでいる一人の少年がいた。  彼の部屋には、ずらりと本が立ち並んでいる。  どうやらほとんとが推理小説のようだ。  彼は探偵を目指しているのだろう。  学校の成績は常にトップで有名難関進学校へ進学している。 「風水、あなた宛に手紙が来てるわよ」 「今から取りに行く」  どうやら、彼の名前は風水らしい。  風水は言われるがままに手紙を受け取る。 「差出人不明?」  その封書には風水の住所氏名しか明記されておらず、裏返したり元に戻したりを何度か繰り返してみるが、やはり見当たらない。  どこにもそれ以上の情報は明記されていなかったのである。  つまり、『差出人不明』という部類の郵便物だったのだ。  
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