常世の理

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「良かった。あまり起きないから心配したんだぞ」 人に抱っこされてても、気付かないくらいに熟睡してたらしい。 そう言えば昨日から何も食べてなかった。 少女の胸の中はふかふかで心地よかった。 ふんわかした温もりに甘えるように少女の手をなめた。 少女の手はやわらかく、甘い香りが口の中いちめんに広がった。 それが新鮮な朝の香りと混ざりあい、寝ぼけた脳を覚醒させていった。 僕は少女の腕の中で丸まった体を引き延ばすと、大きく伸びをしてしてあくびをした。 少女はそんな僕のあごや頬を優しく撫でてくれた。 僕はそれがとても心地よく、さいそくするように、喉を少女の細い指先にこすりつけた。
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