第二章-そいつは突然やってきた-

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†エリーズ街道 エステルとヨシュアはグリューネ門に向かって歩いている。 なぜ飛行船を使わないのかというと、新人の整備士がヘマをして飛翔機関が動かなくなったらしい。丸一日は動かないとのことだ。 「ホントにタイミング悪いわね~」 エステルが愚痴った。 「まぁまぁ、いいじゃない。運動にもなるし」 「まぁね」 そんな他愛のない話をしながらちょうど橋のところに差し掛かったときだった。 ガサガサ… 右前方の茂みが動いた。 「エステル…」 ヨシュアの手にはすでに双剣が握られている。 「うん…」 エステルも棒具を構える。 「来るよ!」 ヨシュアが叫んだのと同時に三つの影が飛び出してきた。 『!?』 二人は驚愕した。 飛び出してきたのはライノサイダーが三体。エリーズ街道ではよく目にする魔獣だ。 ただ、目の前のそれは明らかに異質だった。 まず、大きい。普通のライノサイダーより二周り、下手をすると三周りでかい。 牙も大きく肥大している。 だが、最も目についたのは…その色。黒を主とした躯の色は一言…まがまがしかった。 「な、何よ…これ?」 「とにかく、迎撃するよ、エステル!!」 ライノサイダーは攻守共に隙のない魔獣だが、動きが遅く側面の攻撃に弱い。 ヨシュアは足で翻弄しつつ、側面に飛び込んだ。 「せいっ!!」 双剣で斬り込む。が… ガキンッ!! 「っ!!」 固い。異常な固さだ。 動きが止まったヨシュアに別の一頭が突っ込んで来る。 「くっ!」 ヨシュア攻撃した方の背中を蹴って大きく飛び退く。 「えい!!」 同時にエステルがアーツを放つ。 ライノサイダーの足元に圧縮された水塊が収束し……爆発する。 [グオオォォ!!] 水属性単体上位アーツ<ブルーアセンション>だ。 「これでどうよ!!」 エステルは勝ち誇ったようにガッツポーズをとる。 しかし、ライノサイダーは半分程も傷ついていないようだった。 「えぇ!?これでもダメなの!?」 「でも効いてる…。エステル、僕が引き付けるからアーツで攻撃して」 「わかった。だけど無理しないでね」 「うん、大丈夫。エステルには指一本触らせない」 ヨシュアは地面を蹴った。
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