第二章-そいつは突然やってきた-

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男は倒したライノサイダーの方へ向かい、自分の武器を拾い上げた。 男が拾い上げた武器は<ハルバート>または<斧槍>と呼ばれる長柄の武器だ。 <ハルバート>は別称の<斧槍>が示す通り槍に斧の刃がついておりその対には鉤爪がついている。槍で突き、斧で斬り、鉤爪で引き倒す等、多様な使い方ができる。しかし、その反面扱いが大変難しい。 男は斧槍に丁寧に鞘を着けるとエステルたちの方を向いた。 「ところで、今の魔獣は何ですか?ライノサイダーにしては少し大きく見えたのですが…」 「僕たちも急に襲われたので詳しくは…。ただ野生の魔獣ではないと思います」 「ほう…」 男は興味深げに目を細めた。 「気を付けておいた方がいいかもしれませんね…。では、私はこれで失礼します」 男は腰を折って礼をすると踵を返し歩き出した。 「あ、あの…」 エステルが呼び止める。 男が立ち止まって振り返った。 「はい、何でしょう?」 「お名前をいいですか?」 「名乗る程の者ではございませんが、ここでお会いできたのも空の女神のお導きでしょう。私はカイル。カイル・ラングリフと申します。ご縁があればまた会いましょう」 そう言ってカイルは王都の方へ立ち去って行った。 エステルとヨシュアはその後ろ姿をしばらく見送っていた。 「カイルさんか…」 エステルが呟く。 「なかなか強かったね」 ヨシュアが言った。 「そうよね~。ハルバートをあんなに軽々扱ったり、アーツも強力だったし、すごく礼儀正しい人だった」 エステルは少し嬉しそうに言った。 「やけに肩を持つね」 ヨシュアが笑顔で言う。 「えっ!?そ、そんなことないよ」 エステルは慌て否定した。 「ふーん」 「ヨシュア…ひょっとして怒ってる?」 「全然。気のせいじゃない?」 そう言ってヨシュアはさっさと歩き出した。 「あ、待ってよ。ヨシュア~」 エステルは慌て追いかけた。
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