第一章-とある朝のブライト家-

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朝…窓からはカーテンを通して柔らかい朝日が射し込み、小鳥がさえずりながら元気よく飛び回っている。 そして、もう一つ… 哀愁漂う…だがどこか優しい旋律が少しくぐもった音で流れてくる。 彼のハーモニカだ。 エステルはその旋律に誘われるようにゆっくりと目を覚ました。 「ん~~~っと」 エステルは大きく体を伸ばした。 ベッドを降りて、ハーモニカの音がする方に向かう。 ベランダに出ると、一人の黒髪の男がいた。 彼はエステルが来たことも気にせず旋律を奏で続ける。 やがて、演奏が止まった。 エステルは拍手をする。 黒髪の彼が微笑みながら振り向いた。 目には琥珀色の光をたたえている。 「おはよう、エステル」 エステルも彼に━━ヨシュアに微笑み返した。 「おはよう、ヨシュア。相変わらず上手いわね、『星の在り処』」 「うん…。フフ…」 ヨシュアが唐突に笑みをこぼした。 「えっえっ、何!?」 エステルは急にヨシュアが笑ったのでうろたえる。 「いや、父さんが出発したあの日の朝とおんなじだなぁ、って思って」 「そういえば、あの朝もこんな感じだったわね…」 あの朝━━つまり一連の<身喰らう蛇>による<福音計画>が始まったあの日の朝のことである。 ただあの頃と違うのは━━ 「今はお互い正遊撃士だけどね」 エステルとヨシュアはお互いに笑みをこぼした。 「おーい、メシだぞ~」 一階から声が聞こえてくる。 「だってさ、エステル。行こうか?」 「そういえば、お父さん帰ってきてるんだっけ?」 「うん、軍部の仕事も一段落したみたいだよ」 二人は一階へ降りていった。
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