第一章-とある朝のブライト家-

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† 下へ降りると父━━カシウス・ブライトがカップにコーヒーを注いでいた。 「おう、来たか」 カシウスはコーヒーを注ぐ手を一旦止めて二人を見る。 「今日はお父さんが朝ごはん作ったんだ」 そう言いながらエステルが席につこうとする。 「ちょっと待て、エステル」 席につこうとするエステルをカシウスが止めた。 「お前、顔も洗ってないだろう。そんなことじゃ俺のメシは食わせられん」 「あっ…、失礼しました~」 エステルはそそくさと顔を洗いに向かった。 「まったく、我が娘ながらなんともずぼらなことだ」 カシウスは軽くため息をつく。 「フフ…、ああいうところもエステルらしくていいんじゃない?」 ヨシュアがコーヒーを片手に答える。 「しかしだな、あれに女性としての魅力を感じろと言うのが無理な話だろう?」 カシウスがそう言うとヨシュアが微笑んだ。 「他の男性がいなくても、僕がいるから安心して、父さん」 「やれやれ、朝からノろけられたか」 カシウスは破顔した。
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