序章

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その昔……無限に広がる宇宙の彼方で、一つの惑星は二つの世界に分かれていた。 一日中太陽が輝くは南の『ハイマーン』。人々は肥沃な大地の恩恵を受けて自然体で豊かに暮らしている。 かたや時を問わずに星月が輝く北の『ナイトメア』は、暗闇の中で生き抜くために魔術と魔科学が発展していた。 星の名は『惑星ワクノス』という。 二極の世界は互いを認識しつつも決して干渉することは無かった。正反対である互いを認め合っていたからである。 ……しかしその後に、ナイトメアの人々は、すべての魔術・魔科学の燃料になる『ライズ』がハイマーンから多く抽出される事を知る。 人々は考えた。「ハイマーンには肥えた大地もライズもあるではないか!」と。 そしてその魅力は彼らを大海『エターニィ』を数ヶ月かけて渡り、ハイマーンに移住を始めるまでに至らせてしまう。 そのため世界全体の『ライズ』のバランスは崩れ、ナイトメアは崩落してしまった。 ナイトメアに残っていた人々は、地核の放射能によって異種人格『アンデッド』に豹変したと云われている。 これが『月の消滅』──ルナ・ロス・パーティ──通称『L・L・P』である。 月の消滅から1000年後の現代。 ハイマーンは豊かな自然と、ナイトメア人により持ち込まれた魔科学が日常生活を支える柱となっていた。 これから始まる物語。 想いの相違、強大な愛。 どちらの想いが実現するのか。 そしてその時彼は──
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