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「うおっ!」
スカルが今まさに向かっていた木製の階段から、一人の少女が下りて来たのだ。
彼女は、先程彼が声を掛けた人物。嘘をついただの何だの騒がれていた本人の御登場というわけだった。
ケープは被っていないが、この少女が“女の旅人”だろうか。
「きゃっ……あの、何かお話中でしたか?」
少女は申し訳なさそうに首をすくめて後退する。
「いやいや!!そんなんじゃありませんけど……」
「すみませんねぇ、うちの馬鹿息子が煩くて」
オロオロする息子を下がらせて肝っ玉母さんことカーンはこの状況を説明した。
……うなだれるスカルの後ろで、野菜炒めを頬張りながらフェーンが黒く笑っていたのはまた別のお話。
「だから今呼びに行こうとして……」
一通り説明が終わったところで、スカルは少女に頭を下げながら言った。
正確には母に頭を押さえ付けられたのだけれど。
彼が謝らなかった訳では無いが、カーンがそれでは足りないと更に頭を下げさせたのだ。すぐさま抗議したが、母は強し。
本日二発目の鉄拳が飛んだのだった。
少女はそんな親子のやりとりを、フェーン同様微笑ましく見ていた。
「ふふ。わざわざありがとうございま……」
……が。
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