食い逃げ犯

9/10
61人が本棚に入れています
本棚に追加
/179ページ
自分を直視したまま一時停止してしまった少女に、スカルが声を掛ける。 「ん?どうなされまし」 た。と言い終わる前に、少女の凍結状態は解けた。 「あーーーーー!!」 ……と同時に少女は大声をあげ、その迫力に思わずスカルは肩をビクつかせた。 スカルだけではなく、その隣にいるカーンも、野菜炒めを頬張るフェーンも。とにかく皆が驚きの表情を浮かべていた。 この状況を作り出した張本人である少女は、ビシッとスカルを指差してその赤い瞳を睨みつける。 「あんたは……」 少女はスカルを指差したまま眉じりをキッと吊り上げ、唇をワナワナと震わせて言い放った。 「あんた、連続食い逃げ犯のチャルナッカね!!」 「はぁ!?」 内心で一体何を言い出すんだと思いながら、当たり障り無いようにスカルは対応する。 「チャルナッカ?いやあの、誰ですかそれは」 とぼけんな!と罵声が飛ぶ。 それは些か女性の言葉遣いとは思えなかった。 「ハイマーンの高級料理店を食い荒らし、揚句の果てに宿屋の者だなんて嘘ついて……このふとどき者が!」 「あぁ?食い逃げ犯って……そんな訳無いだろ!」 「問答無用!」
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!