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「──で、結局お前は全部の店で値切り交渉をした、と」
「だ、だって余ったディル貰えるんなら値切るだろ!?普通!」
市場からの帰り道。王城が聳える街の外れを、時折通る馬車に気をつけながら二人は歩いていた。
大量に買い込んだ食材を半分フェーンに持たせ、スカルは本日の値切りで揚げた成果を話して今に至る。
「いやー少なくとも俺はしないかな。仮にしたとしてもだ。あそこまで熱くはならないさ」
先ほどの肉屋で見たスカルの熱血ぶりを思いだして、フェーンは思わず盛大に吹き出した。
「吹き出すなよ!失礼な奴だな!」
「っはは、ごめんって!
でも、さっすが‘熱血バカ’を体現する男だね」
言葉とは裏腹に、無遠慮に腹を抱えたフェーンの笑いは、次第に大きくなっていく。
「……そんな事言うんなら、もう一生家でご飯食べさせないからな!」
すっかり機嫌が斜めになってしまったスカルは、両腕を大きく振って、一人笑っている幼なじみの前を歩いた。
「っははは!冗談だよ。真にうけるなってー」
「うっさい。いいからさっさとツケ払えよな。
無銭飲食も甚だしい!」
「っははは!」
そんなことをしている内に、二人は『宿屋ブレーメン』の前にたどり着いた。
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