飼い猫の幸せ

3/7
前へ
/7ページ
次へ
「……ニャー」 「あははっ、シロはおとなしいねぇ」 ――で、それから数時間と経たない内に、僕は見知らぬ幼女と入浴中なのだった。……よし、今羨ましいとか思ったお前等は、ロリコン確定で。 ――閑話休題。 何だってこんな事になっているかと言えば、理由は簡単。 悠々と過ごすも、時間の経過と共に空腹に襲われる→食料を確保しようとするも、猫らしい生き方を知らない僕には無理→空腹に倒れる→通りすがりの幼女が叫ぶ。「おかあさ~ん、猫ちゃんが死んでる~!」→そのまま拾われ、『広瀬』という表札の家に突入→ミルクを頂き、身体を洗ってらっしゃいと言われ、やる気満々の幼女(小学校1年生くらい)に連れられ風呂場へ→今に至る。 ちなみに幼女は浴槽、僕はお湯を張った洗面器の中だ。 ミルクでお腹が膨らんだり、洗面器に収まる大きさだったり、僕はまだ子猫らしい。生後半年~一才くらいかな? 「シロ~、シロ~、シロの身体は真っ白~♪」 謎のリズムでオリジナルの歌を口ずさむ幼女を見ていると、ふと、一つの衝動が。……いや、いかがわしいものじゃないよ? 「……ニャッ」 密かに、洗面器の中で四肢を縮める。 ……幼女を見ていて、全身を過ぎる衝動。 ――困らせたい 猫は気ままに振る舞い人を困らせる。 何でそんな事をと人間時代は思ったものだが、分かった。今はっきり、わかった。 猫は本能的に、人間を困らせたくなるに違いない。そう、衝動的に。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加