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――ってなわけで。
「ニャウッ!」
「ふぇ?って、シロ!?」
幼女が驚いた声を上げるが、無理もない。
何しろ僕は洗面器から跳躍、湯船にダイブしたのだから。
「だ、ダメだよシロ!怒られちゃうよぅ!」
……それは、僕にもわかる。
人間として17年生きてきたんだから、今の僕が湯船に入るとマズいのは、わかる。ほら、お湯に毛が浮いちゃうからね。
でも、それが些細なことに思える程の衝動が、身体を支配していた。
――困らせるのって、楽しい。
「やんっ、もう、ダメだったらぁ!あっ、そんなとこ触っちゃ――」
「愛歌、お風呂は静かに入りなさい」
騒ぎを聞きつけたのか、お父様が風呂場へ乱入。
そこにある光景は、猫が湯船に入っているという困った光景で……
「…………」
「…………」
「…………」
三者沈黙。苦し紛れに『カポーン』なんて擬音を入れたくなる程、それは重たい沈黙だった……
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