飼い猫の幸せ

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――深夜。 「シロー!どこー!!」 そんな愛歌ちゃんの声が聞こえてきて、僕はちょっと、驚いた。 みんなが寝静まってからこっそり家を出たから、朝まで気付かないと思ったのに。 よく聞けば、お父さんとお母さんの声もする。 ……嬉しいなって、そう思った。 突然居なくなった僕を、家族みんなが捜してくれる。それが、凄く嬉しかった。 「……にゃん」 ごめんね、とこっそり呟く。 僕のいるこの場所は、きっと狭すぎて、みんなは見つけられないね。 ……でも、良いんだ、それで。 僕は決して、重たい空気で看取って欲しいわけじゃない。 僕は出来れば、いつもの笑い声に囲まれて、その時を迎えたい。 「シロー!どこにいるのー!!」 もう一度、愛歌ちゃんの声。 僕が見つからなくて困っている、愛歌ちゃんの声。 ……でも、僕は知ってるんだ。 僕がみんなを困らせると、最初はみんな、困ったような顔をするけれど。 でも最後には、楽しそうに笑ってくれるんだ、みんな。 僕はそれが嬉しくて、楽しいから…… だから、最後までみんなを困らせちゃうけど……でも、許して欲しい。 だって僕は、出来れば……みんなの笑い声に囲まれて、その時を迎えたいから。 ……そうして僕は、その時を迎える。 狭い場所で。独りぼっちで。 ――でも、それを悲しいとは思わない。 だって僕は……みんなが最後には笑ってくれるって、そう、信じてるから……
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