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ヘッドホンをした短髪の男子。左耳には黒いピアスが2つついている。顔立ちは整っているが、彼もまた無表情に近い。
彼女はフッと息をはいた。
『蟹スープ美味しいけど味うすい』
『いやいや、せめて普通におはようと言えよ』
珍回答した彼女の頭を突いて隣の席に座った男子。
彼の名は矢島。
彼女に話しかける数少ない生徒の1人で、学校にいる事があまりない。
『…なんでいるの?』
『俺だって朝から学校くる時ぐらいあるっつーの』
それを聞くと彼女の眉間に微かな皺がついた。
そして何事もなかったかのように小説に視線を戻した。
『…その訝しげな顔がムカつく』
ハァとため息をついて彼は携帯電話をいじり始めた。
騒がしいクラス。
静かな彼ら。
そんないつもと同じ朝が始まった。
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